【保存版】CCUS退職手続きの完全マニュアル|ICカード返却・所属削除・情報漏洩リスクまで徹底解説
2025.06.25更新

建設キャリアアップシステム(CCUS)では、技能者が退職する際に適切な手続きを行わなければ、旧勤務先の情報が新勤務先に漏れるなど、実務上で重大な問題が発生するおそれがあります。
本記事では、退職手続きの重要性・具体的な対応内容・ICカードの扱い・改善提案までを、CCUS登録代行の現場で培った知見に基づき分かりやすく解説します。
目次
なぜ退職手続きが必要なのか|旧勤務先の情報漏洩リスク
CCUSでは、技能者が特定の事業者と紐付けられた状態で管理されます。したがって、退職後もその紐付けが残ったままだと、次の勤務先に旧勤務先の情報が可視化されるという問題が生じます。
具体的に漏れる可能性がある事業者情報
- 会社所在地
- 電話番号
- メールアドレス
- 登録責任者氏名
- 社会保険事業所番号・記号
- (場合によっては)雇用保険事業所番号
このような情報が新しい勤務先に表示されることで、プライバシー侵害や業務妨害、さらには不正利用のリスクが生じます。
想定される悪用リスク
- 旧勤務先へ無断で連絡を取り、採用状況や退職理由を調べる
- 社会保険情報を用いた虚偽申請やなりすまし行為
- 登録者情報を第三者に流用する可能性
このような事態を防ぐには、退職時に所属情報を速やかに削除・変更する必要があります。なお、所属先の変更は技能者本人または代行申請によって行うことが望ましく、事業者が責任をもって対応すべきです。
いつ何をする?退職時のタイミングと手順
退職日確定後は速やかに準備を
退職日が決まった段階で、事前準備と対応スケジュールの策定が重要です。特に退職前日または当日に、以下の処理を行うことでトラブルを未然に防ぐことができます。
事業者による対応手順
- CCUS事業者ポータルにログイン
- 「所属技能者管理」から該当技能者を選択
- 「所属解除」手続きを実行
技能者に対して行うべき対応
- キャリアアップカード(ICカード)の返却
- ID・パスワードの引継ぎ(書面またはPDF)
- パスワード変更手順の案内
これにより、次の勤務先でスムーズな紐付けとキャリア継続が可能となります。
ICカード・ログイン情報の扱い方
ICカードは技能者の生涯資産
キャリアアップカードは技能者一人に対し生涯1枚しか交付されません。そのため、退職時には必ず本人に返却することが基本です。
万が一返却されない場合は、技能者側で再発行手続き(送料自己負担)を行う必要があります。
ID・パスワードは確実に共有を
- IDは再発行が困難なため、正確な記録と引継ぎが必須
- パスワードについては変更可能だが、本人に説明することが推奨される
- ログイン情報が無いと、キャリア情報の閲覧や次の紐付けができなくなる
対応としては、書面またはPDFファイルでの情報提供が最適です。
当事務所では、ICカードの再発行サポートも行っております。
CCUS仕様における未対応課題と改善提案
退会・削除機能が存在しない
現時点では、技能者が自身のCCUSアカウントを削除することはできません。したがって、退職後も旧所属情報が半永久的に残り続けることになります。
今後の制度改善に向けた提案(希望)
- 技能者ポータルに「退会」や「旧所属非表示」機能を実装する
- 一定期間の経過後に旧所属情報を自動非表示とする機能の導入
- ICカードの再発行手続きの簡略化と費用負担の見直し
上記の制度改善があれば、より安全かつ透明性の高い運用が期待できるので制度改善してほしいですね。
まとめ|退職時対応は技能者と企業双方のリスク回避に直結
CCUSにおける技能者退職時の対応は、所属情報の解除・ICカード返却・ログイン情報の引継ぎという基本対応に加え、情報漏洩リスクを踏まえた慎重な運用が求められます。
特に旧所属情報の残存は、企業にとっても重大なリスクです。適切な手続きを通じて、技能者のキャリア継続と企業の信用維持を両立させましょう。
当事務所では、退職時のCCUS手続き支援をはじめ、建設業許可や就業履歴管理のトータルサポートを提供しています。ご不明点があればお気軽にご相談ください。

【執筆者】ローイット関西行政書士事務所
代表行政書士 中市 勝
建設業手続きの実績はグループで300件以上。関西に携わる建設業関連(建設業・産廃業・宅建業)をメイン業務とし、その中でも建設業許可に特化。大阪・東京での行政書士事務所のグループとして一人親方から上場企業まであらゆるニーズに対応。