建設業許可を飛ばさないために!主任技術者、監理技術者の違いについて徹底解説!
2017.11.29更新
ご訪問いただきありがとうございます。
ローイット関西行政書士事務所の行政書士の中市です。
では今回はタイトルの通り主任技術者と監理技術者を掘り下げていきましょう。
名前からして「いつもよく出てくる専任技術者に似たような奴」と勘違いしてる人が結構います。
決算変更届とかの際に、理解してないと大変なことになる可能性があるのでしっかりとやっていきましょう。
こちらの記事もご覧ください
あなたはどのパターン?5つのパターンから考える、主任技術者、監理技術者の落とし穴
目次
主任技術者、監理技術者とは?
簡単に言うと、
- 工事現場に必ず配置するのが、主任技術者
- 特定建設業許可が必要となる工事の場合に配置するのが、監理技術者
ということになります。
前提として、
建設業者は、元請下請、金額の大小に関係なく、全ての工事現場に必ず技術者を配置しなければなりません。(法第26条第1項)
この全ての現場に配置しなければならない技術者が「主任技術者」です。
また、
発注者から直接工事を請け負った建設業者(元請)は、その下請契約の請負代金の額が4,000万円以上 (建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる場合にあっては、「主任技術者」に代え、 より上位の資格者等である技術者を配置しなければなりません。(法第26条第2項)
この元請が一定金額以上の下、請負を出す場合、「主任技術者」に代えて配置しなければならない上位の技術者が 「監理技術者」です。
専任技術者と主任技術者・監理技術者の違いとは?
請負契約の締結とかをするのが専任技術者とお考えください。専任技術者のページでも触れていますが、工事方法の検討をしたり、注文者へ説明したり、見積書作成などをします。
よって原則としては営業所の中で仕事をすることになっており、工事現場に出ることはありません。
現場には出ない技術者です。なので営業所へ常勤する必要があります。
それに対して、主任技術者・監理技術者は、
工事が適切に行われるように、工事現場において技術上の管理、監督が役割です。
なので、工事現場が仕事場です。
主任技術者を詳しく説明
主任技術者・監理技術者の全体像が見えたと思うのでいよいよ詳細に触れていきます。
まずは主任技術者からいきましょう。
上述しましたが建設業許可を受けた業者は、元請・下請に関わらず、また請負金額にも関わらず、請け負った全ての工事について、現場に主任技術者を配置しなければなりません。
しかし例外もあります。監理技術者を配置する場合は主任技術者を配置しなくてもOKです!
主任技術者とは?
根拠法令があるんで見てみましょう。
建設業法第26条の3
- 1. 主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。
- 2. 工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。
主任技術者になるにはどうすればいいのか?
一般建設業の専任技術者と一緒なので、詳しくは以下のURLを参照してください。
主任技術者は兼任(別会社でも主任技術者)できるか?
残念ながら不可能です。
細かく言うと主任技術者には専任義務があります。 この「専任」というのは、下記を指します。
- ア)元請けや下請けが直接雇用した技術者であるということ。
- イ)ひとつの営業所に勤務していなければなりません。
注意点は3つあります。
主任技術者の注意点) 1個目
今の時代、職場で責任ある立場やけど派遣社員ってこともあると思います。しかし、主任技術者が派遣や在籍出向者、アルバイトというのは、法律上認められていません。よって必ず工事の元請けや下請けを受注した会社の正社員である必要があります。
もう少し踏み込むと社会保険や雇用保険を会社が払っていること(雇用主が分かるしね)や主任技術者が営業所に通勤できる距離に住んでいることなどが条件となってきます。
主任技術者の注意点) 2個目
主任技術者は工事期間の重複や、工事に一体性が認められる等の条件以外の工事現場を兼任することは原則として出来ません。どんなに近くでも工事期間が重なっていなかったり、関係のない工事だったりした場合は、主任技術者が2人必要となってきます。
複数の工事を一人の主任技術者が兼務できる例外
関連性が強い複数の工事において、それら全てを同一の建設業者が請け負い、同じ場所、もしくは近接した場所において施工する場合は、一人の主任技術者がそれらの工事現場の主任技術者を兼ねることができます。
主任技術者の注意点) 3個目
恒常的な雇用関係があることです。この恒常的な雇用関係とは主任技術者になろうとする人が、所属する建設業者に一定の期間にわたり勤務することとなり、かつ毎日一定時間以上職務に従事することになる状況をいいます。 なので一つの工事の期間のみといった短期雇用(スポット主任技術者)では恒常的な雇用関係とはならないので、主任技術者にはなれません。
この恒常的雇用関係は健康保険被保険者証の交付年月日とかで確認します。新入社員で雇用期間が短いとかの場合、雇用契約書等で証明すればいいかと思います。
では次に監理技術者に行きましょう!
監理技術者を詳しく説明
元請工事で規模の大きな現場(特定建設業クラス)においては主任技術者に代わって監理技術者を配置しなければなりません。
注意しなくてはいけないポイントは、監理技術者をおかなければいけないのは、発注者から直接請け負った元請工事です。なので、規模が大きくても下請工事であれば監理技術者ではなく、主任技術者を配置すればOKです!
監理技術者って何してんの?
監理技術者の職務は、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び工事の施工に従事する者の指導監督です。監理技術者は、下請負人を適切に指導、監督するという総合的な役割を担うため、主任技術者に比べ、より厳しい資格や経験が求められます。
主任技術者がパワーアップした感じです。
監理技術者になるにはどうしたらいいか?
特定建設業における専任技術者の要件と同じです。つまり、
- 資格(許可を受けようとする建設業種に応じて定められています)
- 一般建設業の要件クリア+指導監督的経験(2年以上)
詳しくは特定建設業の専任技術者のページを参照してください。
監理技術者として仕事したいんやけど注意点ってある?
監理技術者として建設工事に専任で携わる人は、監理技術者資格者証の交付を受け、かつ、監理技術者講習を修了していることが必要です。工事現場においては監理技術者証の携帯が義務づけられ、発注者の請求があったときは提示しなければなりません。
監理技術者資格者証の交付は一般財団法人建設業技術者センターがやってます。
一般財団法人建設業技術者センター
監理技術者講習は登録講習実施機関がやってます。下記で修了証をもらいましょう!
- 一般財団法人 全国建設研修センター
- 一般財団法人 建設業振興基金
- 株式会社 建設産業振興センター
- 一般社団法人 全国土木施工管理技士会連合会
- 株式会社 総合資格
- 株式会社 日建学院
監理技術者は兼任(別会社でも主任技術者)できるか?
主任技術者と同じ扱いですので残念ながら不可能です。しかし以下の期間は、発注者と建設業者との間で書面により明確に定めていれば、例外扱いとなり専任でなくてもOKです。
- 現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入、仮設工事等が開始されるまでの期間)
- 自然災害の発生等により工事を全面的に一時中止している期間
- 橋梁、エレベーター等の工場製作を含む工事であって工場製作のみが行われている期間
- 工事完成後の事務手続き、後片付け等のみが残っている期間
注意点は下記です。
複数の工事を一人の主任技術者が兼務できる例外は、監理技術者には適用されません。主任技術者だけなので注意しましょう。
しかし複数の工事において、契約工期が重複し、かつ工事対象物に一体性が認められる等の一定の条件を満たす場合には、それらの複数の工事を一つの工事とみなして、一人の主任技術者や監理技術者がそれらの工事現場の主任技術者や監理技術者を兼ねることができます。
専任技術者は主任技術者・監理技術者を兼務できるん?
原則、専任技術者は主任技術者・監理技術者を兼務することは出来ません。
しかし!以下の3つのポイントを全部クリアできたら、例外として専任技術者が主任技術者・監理技術者を兼務することができます。
- 1)専任技術者が専任となっている営業所において、請負契約が締結された建設工事であること
- 2)営業所と工事現場が近接しており常時連絡がとれる体制にあること
- 3)専任であることが求められる工事でないこと
→現場技術者の専任が必要な工事とは、戸建ての個人住宅を対象とする工事を除き、請負代金の額が3,500万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあっては、7,000万円)以上の工事のことを言います。
いわずもがな結構キビシイですね。
終わりに
今回は専任・主任・監理技術者の違いについて掘り下げてみました。決算変更届では結構みる分野だと思うのでしっかり理解しておきましょう!
それでは今回はここまで!お疲れ様でしたm(_ _)m
こちらの記事もご覧ください
あなたはどのパターン?5つのパターンから考える、主任技術者、監理技術者の落とし穴
【執筆者】ローイット関西行政書士事務所
代表行政書士 中市 勝
建設業手続きの実績はグループで300件以上。関西に携わる建設業関連(建設業・産廃業・宅建業)をメイン業務とし、その中でも建設業許可に特化。大阪・東京での行政書士事務所のグループとして一人親方から上場企業まであらゆるニーズに対応。