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建設業許可を飛ばさないために!決算変更届について初心者向けに1から徹底解説⑥!【財務諸表法人編】損益計算書~

2018.03.05更新

ご訪問いただきありがとうございます。
ローイット関西行政書士事務所の行政書士の中市です。

前回の終わりに次回は貸借対照表個人編と記載しましたが、まず法人から終わらしたほうがいいかなと思い方向転換です。では、財務諸表法人編の第3回目は損益計算書について掘り下げていきましょう。

本題に入る前に貸借対照表と損益計算書の違いを簡単に解説します。

貸借対照表 = 会社がどんなお金をどんな感じで持ってて、どれだけ調達しているかを表にしてます。
損益計算書 = 一定期間の中でどれぐらいお金を使って、どれだけ儲かったのかを表にしています。

では財務諸表法人編第3回目スタートです。

完成した工事の売上高を正確に計上するには!

建設業は、請け負った工事の開始から完成までの期間が、長期になったりします。
もちろん工事の期間中に決算期をまたぐこともありますし、場合によっては開始から完成までの期間が複数年になる場合だってあります。

なので建設工事の売上計上時期には一定のルールがあるんです。
そのルールが、工事完成基準(完成引渡基準・部分完成基準に分岐します )と工事進行基準といわれるものです。

まず工事完成基準から解説します。

工事完成基準・工事進行基準っていつくらいに売上計上すんの?

前提として建設業の売上を計上する日は、原則工事完成基準(工事完成基準は2パターンに分岐します。)です。
工事進行基準は場合によって適用されるとイメージしてください。

計上時期は以下のとおりになっています。

◆ 完成引渡基準

物の引渡しを要するものは、目的物全部を引渡した日に売上を計上します(←ここがポイント!)。
ちなみに建設工事等の「引渡しの日」とは、作業完了日や相手方の受入れ場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方が使用収益できる事となった日などをいい、建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じ、その引渡しの日として合理的であると認められ、継続して適用しているものをいいます。

具体例でいうと工事が完了して、引渡証明書などの書面受領日や発注者に建物の鍵を渡した日です。
このときに工事収益と工事原価を計上します。

◆ 部分完成基準

工事はまだ完成していないが、一定の段階で、部分的に支払うべき代金が確定する場合は、部分的に確定した段階で売上を計上します。

具体例でいうと、

  • 一つの契約により同種の建設工事等を多量に請負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金をもらう旨の契約、または習慣がある場合。
  • 一つの建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引渡した都度その割合に応じて工事代金をもらう旨の契約、または習慣がある場合。

上記に当てはまる場合はこのときに工事収益と工事原価を計上します。

◆ 工事進行基準

工事進行基準は、工事の売上高や原価の額を、その事業年度終了時における工事の進捗割合に応じて計上する方法をいいます。
ご存知の通り建設工事は、着手から完成までの間に一定期間が必要なので、完成引渡基準・部分完成基準の例外として、選択適用が認められています。
しかし、工事が次の条件の全てに該当するような長期大規模工事は、工事進行基準が強制適用になります。

  • 工事期間が1年以上
  • 工事の請負金額が10億円以上
  • 請負代金の1/2以上が、完成日後1年以上あとに支払われるものでないもの

売上高の計上も難しいですね。
とりあえず売上高はこれぐらいにしておきましょう。

損益計算書の記載要領

まず損益計算書の勘定科目とそこに何を記載するのかですが、貸借対照表と同じく書きだしたらキリがないくらい量が多いので、URLを貼っておきます。

建設業法施行規則別記様式第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件(昭和57年建設省告示1660号)

では大阪の手引きを基に考察していきましょう。
前回やった貸借対照表の翻訳内容と似ている箇所があるので似ている箇所は前回参照とします。

1. 損益計算書は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行をしん酌し、会社の損益の状態を正確に判断することができるよう明瞭に記載すること。

前回参照。

2. 勘定科目の分類は、国土交通大臣が定めるところによること。

前回参照

3. 記載すべき金額は、千円単位をもって表示すること。ただし、会社法(平成17年法律第86号)第2条第6号に規定する大会社にあっては、百万円単位をもって表示することができる。この場合、「千円」とあるのは「百万円」として記載すること。

ここも前回参照

4. 金額の記載に当たって有効数字がない場合においては、科目の名称の記載を要しない。

前回参照

5. 兼業事業とは、建設業以外の事業を併せて営む場合における当該建設業以外の事業をいう。この場合において兼業事業の表示については、その内容を示す適当な名称をもって記載することができる。
なお、「兼業事業売上高」(二以上の兼業事業を営む場合においては、これらの兼業事業の売上高の総計)の 「売上高」 に占める割合が軽微な場合においては、「売上高」、「売上原価」及び「売上総利益(売上総損失)」を建設業と兼業事業とに区分して記載することを要しない。

前段は前回参照です。後段は文言通りです。兼業事業売上高が少しの場合はまとめて記載してOKです。

6.「雑費」に属する費用で販売費及び一般管理費の総額の10分の1を超えるものについては、それぞれ当該費用を明示する科目を用いて掲記すること。

雑費とは社内打合せ等の費用、諸団体会費並びに他の販売費及び一般管理費の科目に属さない費用をいいます。具体的にいうと、日用消耗品やお茶やコーヒー代、会社に飾る植物・花の購入費や各種の証明書発行手数料等々があります。
販売費及び一般管理費の総額の10分の1を超えた時は科目を明示してくださいということですが、あまりそのケースはないとは思います。

7. 記載要領6は、営業外収益の「その他」に属する収益及び営業外費用の「その他」に属する費用の記載に準用する。

営業外収益のその他に属する収益は、下記のものをいいます。

  • 有価証券売却益(売買目的の株式、公社債等の売却による差益)
  • 雑収入(他の営業外収益科目に属さないもの)

営業外費用の「その他」に属する費用は下記のものをいいます。

  • 創立費償却(繰延資産に計上した創立費の償却額)
  • 開業費償却(繰延資産に計上した開業費の償却額)
  • 株式交付費償却(繰延資産に計上した株式交付費の償却額)
  • 社債発行費償却(繰延資産に計上した社債発行費の償却額)
  • 有価証券売却損(売却目的の株式、公社債等の売却による損失)
  • 有価証券評価損(会社計算規則第5条第3項第1号及び同条第6項の規定により時価を付した場合に生ずる有価証券の評価損)
  • 雑支出(他の営業外費用科目に属さないもの)

これが営業外収益、営業外費用総額の10分の1を超えた時は科目を明示してくださいということです。

8.「前期損益修正益」の金額が重要でない場合においては、特別利益の「その他」に含めて記載することができる。

文言通りです。

9. 特別利益の「その他」については、それぞれ当該利益を明示する科目を用いて掲記すること。ただし、各利益のうち、その金額が重要でないものについては、当該利益を区分掲記しないことができる。

10. 特別利益に属する科目の掲記が「その他」のみである場合においては、科目の記載を要しない。

文言通りです。

11. 記載要領8は「前期損益修正損」の記載に、記載要領9は特別損失の「その他」の記載に、記載要領10は特別損失に属する科目の記載にそれぞれ準用すること。

12.「法人税等調整額」は、税効果会計の適用に当たり、一時差異(会計上の簿価と税務上の簿価との差額)の金額に重要性がないために、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しない場合には記載を要しない。

前回参照です。

13. 税効果会計を適用する最初の事業年度については、その期首に繰延税金資産に記載すべき金額と繰延税金負債に記載すべき金額とがある場合には、その差額を「過年度税効果調整額」として株主資本等変動計算書に記載するものとし、当該差額は「法人税等調整額」には含めない。

税効果会計とは、

企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に差異がある場合において、法人税等の額を適切に期間配分することにより、税引前当期純利益と税金費用(法人税等に関する費用)を合理的に対応させることを目的とする会計上の手続きである。日本においては、資産負債法に基づき税効果会計を適用するため、企業会計上と課税所得計算上の資産ないし負債の額が相違する場合において税効果会計を適用する。 なお、専ら会計側からのアプローチであり、適正な税引後当期純利益を表示したいが為の調整であるので、納税額に影響はなく、節税効果とは無関係である。

とのことです。ここは難しそうなので税理士さんに聞いた方がいいですね。

終わりに

損益計算書も貸借対照表と同じくらい難しいですね。
税理士さんや会計士さんはこれくらい朝飯前とばかりにやってしまうんやから尊敬しますわ。

決算変更でお悩みの方は今すぐお問い合わせください!
では、今回はここまで!お疲れ様でしたm(_ _)m

行政書士 中市 勝

【執筆者】ローイット関西行政書士事務所
代表行政書士 中市 勝

建設業手続きの実績はグループで300件以上。関西に携わる建設業関連(建設業・産廃業・宅建業)をメイン業務とし、その中でも建設業許可に特化。大阪・東京での行政書士事務所のグループとして一人親方から上場企業まであらゆるニーズに対応。

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