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建設業許可を飛ばさないために!決算変更届について初心者向けに1から徹底解説④!【財務諸表法人編】財務諸表全般、貸借対照表

2018.02.08更新

決算変更届についてその4の1~【財務諸表法人編】貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表、附属明細表、法人事業税納税証明書、事業報告書】~

ご訪問いただきありがとうございます。
ローイット関西行政書士事務所の行政書士の中市です。


さて今回は貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書等々です。通称「財務諸表」って呼ばれいます。

なぜタイトルに【法人編】って入れたかというと個人と法人では若干内容が違ってきます。

なので混同しないように法人の方からやっていきましょう。

そして決算変更でお悩みの方は今すぐお問い合わせください!
では掘り下げていきましょうか。

財務諸表…っ!?

財務諸表とは、会計学上では「企業の一定期間の経営成績や財務状態等を明らかにするための書類」等と言われてます。

会社の経理さんとかは日々の営業取引を複式簿記の方法で記録していると思います。
これを年度末とかに一覧表にして外部の人に公表したり、企業内部の経営管理のために使っています。

なので、この財務諸表は「企業の通信簿」と言われています。

用語解説

複式簿記とは!
借方と貸方があるものをいいます。

貸借対照表の借方には資産に該当する項目を、貸借対照表の貸方には負債と純資産を記載します。 借方は複式簿記の左側に記入し、貸方は右側に記入し、左右は必ず同じ額になることが原則とされてます。

この財務諸表、結構種類があるので、例を挙げます。

財務諸表の例

  • 貸借対照表(Balance Sheet→通称B/S)
  • 損益計算書(Profit & Loss statement→通称P/L)
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表
  • 附属明細表等々。。。があります。

一般的な財務諸表について語りましたがここからは建設業編です。

建設業の財務諸表って特別なんですか?なにか違いがあるんですか?

大きな特徴が2つあります。
まず一個目は「原価」の報告を義務付けているところです。

建設工事は受注生産なんで、原価の管理が非常に大事です。原価管理をしなれけば適正な経営が行われているか判断出来ないですしね。この「原価」を建設業法では「完成工事原価」とよび、材料費・外注費・労務費・経費と4つに分類して報告するよう義務付けています。

そして2個目は建設業の経理には特有の勘定科目があることです。
一般的な経理と建設業の経理の違いを比較してみましょうか。

貸借対照表の場合

一般的な経理 建設業の経理
売掛金 完成工事未収入金
仕掛品 未成工事支出金
買掛金 工事未払金
前受金 未成工事受入金

損益計算書の場合

一般的な経理 建設業の経理
売上高 完成工事高
売上原価 完成工事原価
売上総利益 完成工事総利益

 

決算変更届に添付するB/S(貸借)、P/L(損益)は、簡単に言ってしまえば税務申告した「貸借対照表」、「損益計算書」、「製造原価報告書」等を、建設業法規則様式第15号(貸借対照表)、様式第16号(損益計算書)、様式第17号(株主資本等変動計算書)等の様式に変換するだけです。

※しかし税務申告した決算書で作成された、完成工事原価報告書は材料費や外注費などの一部の科目だけが原価に計上されていたり、原価の計上を全くしないで販管費(経費)に計上されているパターンがたまにありますので、決算書から勘定科目の振替えが必要な場合もあります。

さて財務諸表の概要が分かったところで、決算変更届に添付するB/S(貸借)、P/L(損益)にいきましょう!

決算変更に添付する貸借対照表、損益計算書の書き方が分からない!

ゴールまでのルートが分かればイメージしやすいかと思いますので、まずは作成する順番(道筋)から見ていきましょう。

ゴールまでの道筋

  • ① 貸借対照表からやっていきましょう。貸借対照表は完成工事原価報告書や兼業事業売上原価報告書に左右されません。
  • ② 次に「完成工事原価報告書」と「兼業事業売上原価報告書」を作成します。
  • ③ 最後に損益計算書を作成します。税務申告上の「損益計算書」で売上原価の科目を使わずに、販売管理費で経理処理している場合には販売管理費から「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」に仕訳する必要があるので、建設業用の損益計算書を作る前に完成工事原価報告書・兼業事業売上原価報告書を作成しないと損益計算書の数字が確定できません。

2018/2/19補足

ゴールまでの道筋②に「完成工事原価報告書」と「兼業事業売上原価報告書」を作成します。との記載がありますが、経審を前提とした経営状況分析をしない限り、兼業原価報告書は不要です。

この順番で作成すれば特段問題ないかなと思います。
さてじゃあ個々の作成方法に参りましょうか。
まずは貸借対照表から!今回も大阪の記載要領に基づいてやっていきましょう。

貸借対照表の記載要領

1.貸借対照表は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行をしん酌し、会社の財産の状態を正確に判断することができるよう明瞭に記載すること。

ごまかさず、かつ間違いないように書いてねってことです。

2.勘定科目の分類は、国土交通大臣が定めるところによること。

これを全て記載すると量が多すぎるのでURLを貼っておきます。結構わかりやすく書かれています。

建設業法施行規則別記様式第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の  分類を定める件(PDF)

3.記載すべき金額は、千円単位をもって表示すること。ただし、会社法(平成17年法律第86号)第2条第6号に規定する大会社にあっては、百万円単位をもって表示することができる。この場合、「千円」とあるのは「百万円」として記載すること。

建設業財務諸表では千円未満の数値を切り捨て、切り上げ、四捨五入のどれかの方法に統一して端数処理をした金額を千円単位で記載します。下記注意点です。

  • 合計欄に記載されている額と、各科目を足し合わせた合計が合わない場合が生じますが、合計額についても決算により得られた額を端数処理して記載しましょう。
  • 合計欄には、決算書等に記載された数字を端数処理して転記してください。各科目の足し合わせた結果を記載しないようにしましょう。

4.金額の記載に当たって有効数字がない場合においては、科目の名称の記載を要しない。

5.流動資産、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産、流動負債及び固定負債に属する科目の掲記が「その他」のみである場合においては、科目の記載を要しない。

6.建設業以外の事業を併せて営む場合においては、当該事業の営業取引に係る資産についてその内容を示す適当な科目をもって記載すること。

ただし、当該資産の金額が資産の総額の100分の5以下のものについては、同一の性格の科目に含めて記載することができる。

これは建設業と宅建業をやってる場合、つまり兼業している法人さんに当てはまります。
上の方で説明した通り建設業の経理には特有の勘定科目があります(売掛金と完成工事未収入金みたいな)。

長くなるので続きは次回に繰り越しします。

終わりに

財務諸表は非常に複雑です。作成に関して悩むところかと思いますが、出来るだけ分かりやすく説明できればと思います。

決算変更でお悩みの方は今すぐお問い合わせください!

では今回はここまで!お疲れ様でしたm(_ _)m

行政書士 中市 勝

【執筆者】ローイット関西行政書士事務所
代表行政書士 中市 勝

建設業手続きの実績はグループで300件以上。関西に携わる建設業関連(建設業・産廃業・宅建業)をメイン業務とし、その中でも建設業許可に特化。大阪・東京での行政書士事務所のグループとして一人親方から上場企業まであらゆるニーズに対応。

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